会員管理システムの3つの選択肢
会員管理システムの導入方法は、大きく次の3つに分けられます。
| 選択肢 | 特徴 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| パッケージ(クラウドサービスを含む) | すでに完成した仕組みを使う。導入までが比較的早く、機能の改善も提供側が続ける | 業務をパッケージの標準機能に合わせる必要がある |
| パッケージ+カスタマイズ | パッケージを土台に、足りない部分を追加・変更する | 変更の範囲によっては、費用や更新時の手間が増えることがある |
| 個別開発 | 団体の業務に合わせてゼロから作る | 何を作るかを決める作業が必要になり、完成まで時間がかかる |
どれが優れているということはなく、団体の業務と、パッケージの標準機能がどれだけ重なるかで向き不向きが決まります。

パッケージが向いているケース
パッケージは、多くの団体に共通する業務を効率よく支えるように作られています。次のような場合は、パッケージが有力な選択肢です。
- 会員区分や会費のルールが比較的シンプル
- 名簿管理、会費の請求・入金管理、メール配信など、一般的な機能で業務の大部分が回る
- 業務のやり方をシステムに合わせて見直すことに、組織として前向き
- 早く使い始めたい、または初期の費用を抑えたい
- システムの保守や改善を、提供側に任せたい
「業務をシステムに合わせる」ことは、必ずしも妥協ではありません。長年続いてきた手順の中には、紙の運用の名残で残っているだけのものもあります。パッケージ導入をきっかけに業務を整理できれば、それ自体が成果になります。
個別開発が向いているケース
一方で、次のような場合は、パッケージでは業務が回りきらず、個別開発が合うことがあります。
- 資格の取得・更新、研修の受講履歴、専門分野の登録など、団体独自の管理項目やルールが多い
- 会員区分ごとに会費や手続きが細かく分かれている
- 規程や制度に基づく処理があり、業務のやり方を変えられない
- パッケージに合わせると、結局は表計算ソフトでの手作業が大量に残る
- 現在も独自のシステムで運用しており、その業務の流れを引き継ぎたい
判断の目安は「パッケージの外に残る手作業の量」
パッケージを入れても、重要な業務が表計算ソフトや紙で並行して続くようであれば、個別開発やカスタマイズを検討する価値があります。資格や受講履歴の管理で表計算ソフトが手放せない場合は、受講記録の管理を表計算ソフトから移す進め方もあわせてご覧ください。
比較するときの6つの観点
パッケージと個別開発を比べるときは、機能の数や初期費用だけで判断しないことが大切です。次の6つの観点で整理しましょう。
団体独自のルールがどれだけあるか
定款、会費規程、資格の認定規程などを見返し、会員管理に関わるルールを書き出してみましょう。そのルールがパッケージの設定で表現できるかどうかが、最初の分かれ目です。
ルールがどれくらいの頻度で変わるか
会費の改定や制度の見直しが定期的にある場合、そのたびにシステムを変更する必要があります。パッケージの設定変更で対応できるのか、個別の改修が必要になるのかを確認しておきましょう。
他の仕組みとの連携
会計ソフト、決済サービス、メール配信、ホームページの会員専用ページなど、会員情報を使う仕組みは意外と多くあります。どの仕組みとデータをやりとりしたいかを洗い出し、それぞれ連携できるかを確かめましょう。
今あるデータの移行
既存の名簿や過去の会費・資格の履歴を、新しいシステムに移せるかは重要な確認点です。どの範囲の過去データまで引き継ぐのか、形式の変換は誰が行うのかを、早い段階で話し合っておきましょう。
運用する体制
事務局の人数や、システムに詳しい職員がいるかどうかも判断材料です。設定や運用を自分たちで行う前提のパッケージもあれば、変更のたびに依頼先へ頼む形になる個別開発もあります。問い合わせ先やサポートの範囲も確認しておきましょう。
費用は「使う期間全体」で見る
初期費用だけでなく、月額や年額の利用料、保守費用、将来の改修費用を含めて、使う期間全体で比べることが大切です。会員数に応じて利用料が変わる料金体系もあるため、今後の会員数の見通しも踏まえて試算しましょう。
選ぶための進め方
比較の観点が分かったら、次の順番で検討を進めると判断しやすくなります。
- 1
業務とルールを書き出す
会員の入会から退会までの流れと、規程上のルールを一覧にします。
- 2
「必須」と「あると便利」を分ける
どの機能がないと業務が止まるのかを明確にします。
- 3
パッケージで試す
試用版や説明会で、書き出した業務がそのまま回るかを確かめます。
- 4
残る手作業を数える
パッケージの外に残る業務を洗い出し、その量と重要度を見ます。
- 5
使う期間全体の費用で比べる
パッケージ、カスタマイズ、個別開発の見積もりを同じ条件で比べます。
特に3と4は、担当者だけでなく実際に入力や問い合わせ対応をする事務局の職員と一緒に行うのがおすすめです。各社の見積もりをそろえて比べる方法は、システム開発の見積もりの読み方で詳しく解説しています。
既存システムを置き換える場合
すでに独自の会員管理システムを使っている団体では、そのシステム自体が「業務の記録」になっています。管理している項目、画面の流れ、帳票の出力などを見れば、今の業務で必要なことが分かります。置き換え費用の考え方は、老朽化した業務システムの置き換え費用を抑える進め方で整理しています。
pegの関わり方
pegは個別開発を行う会社ですが、ヒアリングの結果、パッケージのほうが合うと考えられる場合はそのようにお伝えします。大切なのは、団体の業務が無理なく回ることだからです。
個別開発が合う場合は、既存システムや規程、ヒアリングを材料に要件を組み立てます。
事例 会員管理システム
日本眼科医会:約3億円規模の会員管理システムを、既存システムとヒアリングだけで置き換え
- 発注者
- 日本眼科医会(医療系の職能団体)
- 背景
- 大手ITベンダーが構築した約3億円規模の会員管理システムの老朽化と、Windowsのサポート終了
- pegが使った材料
- 既存システムとヒアリングのみ
- 結果
- 新しい会員管理システムを構築。同医会で要件定義書を新たに作成する必要はなかった
資格や講習の管理については、ドローン操縦士協会の講習・実技時間管理システムの事例もあります。協会・団体向けの取り組みは協会・団体向けのご案内、資格・検定の運営については資格・検定向けのご案内にまとめています。ほかの事例は導入事例一覧をご覧ください。
よくあるご質問
Q小規模な団体でも個別開発を検討すべきですか?
規模だけで決める必要はありません。会費や資格の管理ルールが一般的な内容であれば、パッケージで十分なことも多くあります。パッケージの標準機能に合わせたときに、業務のどこで無理が出るかを確かめてから判断するのがおすすめです。
Qパッケージを選んだあとで、個別開発に切り替えることはできますか?
できます。その際に大切なのは、会員データを外部に取り出せるかどうかです。パッケージを選ぶ段階で、データの出力方法や形式を確認しておくと、将来の選択肢を残せます。
Qパッケージと個別開発で迷ったら、何から始めればよいですか?
まずは今の業務の流れと、団体独自のルール(会費区分、資格の更新条件など)を書き出しましょう。そのうえで、パッケージの試用や説明会で「自分たちの業務がそのまま回るか」を確かめると、比較の軸がはっきりします。
Q事務局にシステムに詳しい職員がいなくても運用できますか?
運用のしやすさは、選択肢を比べるときの重要な観点です。日々の入力や問い合わせ対応を担当する職員の方に実際の画面を確認していただき、設定変更をどちらが行うのかをあらかじめ決めておくことをおすすめします。
名簿を外部の会社に預けることに不安がある方は、「会員名簿を外部のシステム会社に渡して大丈夫か|委託するときに確認する7項目」をあわせてご覧ください。
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