置き換えを考えるべき「老朽化のサイン」
システムは、動いているうちは問題が見えにくいものです。次のような状況が一つでも当てはまる場合は、置き換えの検討を始める時期かもしれません。
OSやソフトウェアのサポートが終わる
Windowsなどのサポートが終了すると、セキュリティ更新が受けられなくなります。
仕組みを分かる人がいない
構築当時の担当者が異動・退職し、設計資料も残っていない状態です。
小さな改修にも時間と費用がかかる
管理項目を一つ増やすだけでも、大がかりな作業になってしまいます。
システムの外に手作業が増えている
できないことを表計算ソフトや紙で補う運用が定着しています。
動作が遅い・不安定
処理に時間がかかる、途中で止まることがあるといった不具合が出ています。
特にOSのサポート終了は期限がはっきりしているため、「気づいたら時間がない」という状況になりがちです。早めに動き出すことが、結果的に費用を抑えることにもつながります。サポート終了をきっかけに検討を始める場合は、サポート終了に伴うシステム更新の進め方もあわせてご覧ください。

リプレイス費用が膨らみやすい4つの理由
同じ「置き換え」でも、進め方によって費用は大きく変わります。金額が膨らみやすいのは、次の4つが重なったときです。
「今と同じもの」を丸ごと作り直そうとする
現行システムと同じ機能を新しい環境で——という進め方は分かりやすい反面、もう使っていない機能まで作り直すことになりがちです。長く使ったシステムほど、使われなくなった機能が積み重なっています。
仕様が分からず、調査に工数がかかる
当時の設計資料が残っていない、あるいは改修を重ねて資料と実態が合っていない場合、まず「今のシステムが何をしているのか」を調べるところから始まります。この調査に多くの工数がかかることがあります。
要件を文書にまとめる作業が重い
従来のやり方では、新システムの要件を詳細な文書にまとめてから開発に入るのが一般的です。発注側にエンジニアがいない場合、この作業を外部に頼むことになり、その分の費用や期間が上乗せされます。
データ移行や切り替えの手間が後から見えてくる
新しいシステムを作ること以上に手間がかかりやすいのが、古いシステムに入っているデータの移行です。形式が違う、重複や入力ゆれがあるといった問題が後から見つかると、追加の作業が必要になります。
費用を抑える置き換えの進め方(5ステップ)
費用を抑える鍵は、値引き交渉ではなく「作る範囲を適切に決めること」にあります。次の5つのステップで進めます。
- 1
使っている機能を棚卸しする
今のシステムの機能を「毎日使う」「ときどき使う」「ほとんど使わない」に分けてみましょう。現場の担当者に聞くと、意外と使われていない機能が見つかることがあります。使わない機能を作らないことが、最も確実な費用削減です。
- 2
既存システムを「要件の材料」にする
老朽化したシステムは「捨てるもの」と思われがちですが、実は業務の実態が最も正確に残っている資料でもあります。管理している項目、画面の流れ、日々の操作は、そのまま新システムの要件の土台になります。
- 3
優先順位をつけて範囲を絞る
棚卸しの結果をもとに、「これがないと業務が止まる機能」から先に作ります。あると便利な機能は、新システムを使い始めてから必要に応じて追加すれば十分なことも多いものです。最初の範囲を絞ることで、費用と期間の見通しが立てやすくなります。
- 4
データ移行を早めに検討する
どのデータを新システムに移すのか、古いデータはどこまで残すのかを、早い段階で決めておきましょう。実際のデータを少し取り出して中身を確認しておくと、後から想定外の作業が発生するのを防げます。
- 5
切り替え方を決めておく
ある日を境に一斉に切り替えるのか、一定期間は新旧を並行して動かすのか。業務を止められない時期(会費の請求時期、年度の切り替えなど)を避けて計画することも大切です。
ポイント:既存システムとヒアリングを組み合わせる
既存システムと現場へのヒアリングを組み合わせれば、分厚い要件定義書をゼロから作らなくても、新しいシステムの形を描くことができます。発注側の資料作成の負担が減るだけでなく、「今の業務でできていたことが新システムでできない」という抜け漏れも防ぎやすくなります。
見積もりを比べるときのポイント
複数の会社から見積もりを取る場合、金額だけで比べると判断を誤ることがあります。次の点をあわせて確認しましょう。
| 確認したい点 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 見積もりの範囲 | 要件の整理、開発、データ移行、操作説明、公開後の保守がそれぞれ含まれているか |
| 発注側の作業 | 要件定義書や資料の作成など、発注側に求められる作業がどれくらいあるか |
| 既存資産の活かし方 | 今のシステムや規程などの資料を、どのように要件づくりに使うのか |
| 途中の確認 | 完成前に画面や試作品を確認できる機会があるか |
| 追加費用の条件 | どのような場合に追加費用が発生するのかが明確か |
特に「発注側の作業」は見積書の金額に表れないため見落とされがちです。社内の担当者が資料づくりに追われて本来の業務が止まってしまえば、それも実質的なコストになります。見積書の項目そのものの読み方は、システム開発の見積もりの読み方で詳しく解説しています。
会員管理システムならではの注意点
医会・協会・学会などの団体で使われる会員管理システムには、一般的な業務システムとは異なる注意点があります。
会員区分や会費のルールが複雑
区分ごとの会費、入退会や異動の扱いなど、規程に基づく細かなルールがあります。規程そのものを要件の材料にすると、抜け漏れを防ぎやすくなります。
個人情報を扱う
会員の氏名や連絡先などを扱うため、データ移行の際の取り扱いや、新システムでのアクセス権限の設計が重要です。
事務局の少人数で運用している
専任のシステム担当者がいないことも多いため、操作の分かりやすさや、日々の運用のしやすさを重視しましょう。
年間の事務の流れがある
会費請求や総会など、繁忙期を避けた切り替え計画が必要です。
パッケージと個別開発のどちらを選ぶかで迷っている場合は、会員管理システムはパッケージか個別開発かもご覧ください。団体向けの取り組みは協会・団体向けのご案内にまとめています。
事例:日本眼科医会の会員管理システムの置き換え
事例 会員管理システム
日本眼科医会:約3億円規模の会員管理システムを、既存システムとヒアリングだけで置き換え
- 発注者
- 日本眼科医会(医療系の職能団体)
- 背景
- 大手ITベンダーが構築した約3億円規模の会員管理システムが老朽化し、Windowsのサポート終了も重なって置き換えが必要になっていた
- pegが使った材料
- 既存システムとヒアリングのみ
- 結果
- 新しい会員管理システムを構築。同医会で要件定義書を新たに作成する必要はなかった
ほかの事例:ドローン操縦士協会の講習・実技時間管理システム/導入事例一覧。開発が思うように進まない原因を知りたい方は、システム開発が失敗する5つの理由も参考になります。
よくあるご質問
Q古いシステムの設計資料が残っていなくても、置き換えはできますか?
できます。今動いている既存システムの画面や項目、日々の操作には業務の実態が残っています。pegは既存システムとヒアリングを材料に要件を整理するため、設計資料がなくてもご相談いただけます。
Qリプレイス費用を抑えるために、発注側でできることは何ですか?
使っている機能と使っていない機能を分けること、必ず必要な機能から優先して作ること、データ移行の範囲を早めに決めることで、費用を抑えられます。見積もりを比べる際は、発注側に求められる作業の量も確認しましょう。
Q置き換えの概算費用を知りたいのですが、どうすればよいですか?
無料のご相談で、置き換えたいシステムの概要と業務のお話を伺い、進め方と概算の目安をご提案します。手元で先に整理したい場合は見積シミュレーターもご利用いただけます。
Q切り替えの前後で業務を止めたくないのですが、可能ですか?
切り替え方はご相談のうえで決めます。一定期間は新旧を並行して動かす方法や、繁忙期を避けて時期を設定する方法があります。会費請求や総会など、止められない時期を早めにお知らせください。
あわせてお使いください
3つの質問でわかる簡易診断/ 見積シミュレーター:手元の資料から、作るものの範囲と概算をその場で確認できます。
あわせて読みたい 置き換えの作業量を大きく左右するのがデータ移行です。業務システムの入れ替えでデータ移行が詰まる5つのことに、先に決めておく項目と移行の6ステップをまとめています。
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入れ替えの引き金になる5つのこと、年数が目安にならない理由、直す・足す・作り直す・そのまま使うの選び分けを整理しました。
まずは話すところから
仕様書がなくても、社内にエンジニアがいなくても大丈夫です。実現したいことを伺い、進め方と概算をご提案します。ご相談は無料です。
