時間がかかっているのは請求書の作成ではない
事務局の方に伺うと、「請求書を作るのが大変」とおっしゃいます。ただ、実際に時間を測ってみると、印刷や封入より前の工程に時間が消えていることがほとんどです。
- 名簿の突合:退会者、休会者、年度途中入会、住所変更。請求の前に名簿を正しくする作業
- 区分ごとの金額の確認:正会員・准会員・賛助会員・学生会員。減免や免除の該当者
- 入金の消込:振込名義が本人と違う、金額が合わない、複数名分をまとめて振り込まれる
- 督促の管理:誰に、いつ、何回送ったか
この4つが手作業で残っているかぎり、請求書の発行だけを自動にしても、山は低くなりません。システムにする価値がいちばん大きいのは、消込と督促の管理です。

業務を5つに分ける
会費の業務は、次の5つに分けて考えると整理しやすくなります。
| 工程 | 中身 | 手作業だと重い度合い |
|---|---|---|
| ① 対象を決める | 誰にいくら請求するかを確定する。退会・休会・減免の反映 | 大 |
| ② 請求を出す | 請求書・払込票の作成、送付(郵送/メール) | 中 |
| ③ 入金を消し込む | 通帳やCSVと照らして、誰の入金かを特定する | 特大 |
| ④ 督促する | 未納者の抽出、督促状の送付、履歴の記録 | 大 |
| ⑤ 会計へ渡す | 会計ソフトへの仕訳、年度の締め | 中 |
③と④が重いのは、判断が要るからです。ここを人がやるかぎり、会員数に比例して時間が増え続けます。
先に決めておく4つのこと
システムにする前に、団体の側で決めておく必要があるものがあります。ここが曖昧なままだと、作ってから何度も手戻りします。
1. 年度途中の入会・退会をどう扱うか
月割りにするのか、満額にするのか、次年度からにするのか。定款や会則に書いてあれば従い、書いていなければこの機会に決めてください。いちばん多い手戻りの原因がここです。
2. 減免・免除の条件と、誰が承認するか
高齢会員、休会中、災害時。条件が文書にあるか、慣例で運用されているかを確認してください。
3. 入金を何で照合するか
会員番号を振込依頼人名に入れてもらうのか、金額だけで判断するのか、コンビニ払込票の番号で紐づけるのか。ここを決めると、消込がどこまで自動にできるかが決まります。
4. 督促を何回、いつ送るか
回数と間隔を決めておけば、抽出も送付も自動化できます。決めていないと、毎回誰かが判断することになります。
どこからシステムにするか
全部を一度に作る必要はありません。効果の大きい順に並べると、次のようになります。
- 1
名簿と会費の状態を一か所にまとめる
「誰が、どの区分で、今年度いくら請求されていて、いくら入金済みか」が1画面で見える状態を作ります。ここができるだけで、問い合わせ対応と督促の手間が大きく減ります。
- 2
入金データの取り込みと消込
銀行のCSVを取り込み、会員番号や金額で自動的に候補を出し、判断が要るものだけ人が確認する形にします。全自動にはなりませんが、9割は機械が片づけます。
- 3
督促の抽出と記録
未納者を条件で抽出し、送った履歴を残します。「この人には先月送った」が分かるだけで、事務局の負担が変わります。
- 4
会員本人が見られる画面
支払い状況の確認と住所変更の届け出。ここまで来ると、事務局への電話と郵便が目に見えて減ります。ただし社外の人が使う画面は作る量が増えるので、費用も上がります。
- 5
オンライン決済
クレジットカードや口座振替。手数料と、団体としての方針を先に決めてから検討してください。
1と2だけでも、事務局の作業時間はかなり減ります。予算500万円以内で業務管理システムを作る方法の考え方で、範囲を区切って順に作るのが現実的です。
会計ソフトとのつなぎ方
「会計ソフトと自動連携したい」というご要望はよくいただきますが、最初はCSVでの受け渡しをおすすめしています。
| 方法 | 向いているとき | 注意点 |
|---|---|---|
| CSVで書き出して取り込む | ほとんどの団体。年に数回の受け渡しで足りる | 手作業が1工程残るが、仕組みが単純で壊れない |
| 自動連携(API) | 毎日の入金が多い/件数が非常に多い | 会計ソフト側の仕様変更で止まることがある。費用も上がる |
運用が固まってから自動化するほうが、作り直しが起きません。先に作り込むと、実際の締め作業と合わずに使われなくなります。
pegの進め方
pegでは、いまお使いのExcelや会員管理システム、実際に印刷している請求書と督促状、そして事務局の方へのヒアリングを材料にします。仕様書をご用意いただく必要はありません。
とくに重視するのが、会則や慣例に沿った例外の処理です。「この区分だけは別」「この場合は理事会の承認が要る」といった決まりは、どの団体にも必ずあります。ここを最初に洗い出さないと、動かないものができます。洗い出しにはヒアリングシートをお使いください。
会員管理システムを7か月で作り直した例は「日本眼科医会の事例」でご覧いただけます。パッケージと個別開発の判断は「会員管理システムはパッケージか個別開発か」に整理しています。
よくあるご質問
Qいまの会員管理システムを残したまま、会費の部分だけ作れますか?
作れます。名簿はいまのシステムから定期的に取り込み、会費の部分だけ別に持つ形も可能です。ただし二重管理になるので、どちらを正とするかを先に決めます。
Q入金の消込はどこまで自動になりますか?
振込依頼人名に会員番号を入れていただける運用なら、ほとんど自動になります。そうでない場合も、氏名と金額で候補を出し、人が確認する形にすれば大幅に減ります。
Qコンビニ払込票やクレジットカードに対応できますか?
対応できます。ただし決済代行会社との契約と手数料が別途必要になるため、団体としての方針を先に決めてからのご相談をおすすめします。
Q会員数が数百名でも作る意味はありますか?
あります。件数より、区分や例外の多さで手間が決まるためです。数百名でも区分が複雑なら、システムにする価値は十分あります。
Qいくらくらいかかりますか?
作る範囲によります。見積シミュレーターに手元の資料を入れると、作るものの範囲と概算の見積がその場で出ます。
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