なぜ「相場」を調べても分からないのか
「会員管理システム」と一言でいっても、中身はまるで違います。事務局3人が名簿を引くだけの仕組みと、1万人の会員が自分でログインして会費を払う仕組みでは、作る量が10倍以上違います。それでも、どちらも「会員管理システム」と呼ばれます。
検索して出てくる金額の幅は、この「呼び方は同じだが中身が違う」ことから生まれています。相場を知ろうとするより、自分が作ろうとしているものがどれくらいの量なのかを見るほうが早く着きます。
金額を左右するのは、機能の数より「関わる人の数」
システム開発の費用は、そのほとんどが人件費です。材料費も在庫もありません。だから「何人が、何か月関わるか」がそのまま金額になります。ここを押さえると、見積もりの読み方が変わります。
費用が決まる仕組みは、ひとつだけ
システム開発の費用は、業界で「人工(にんく)」と呼ばれる考え方で決まります。1人が1か月働く分を1人月(にんげつ)と数え、それが何人分必要かで金額が出ます。
| 要素 | 中身 |
|---|---|
| ① 何人必要か | 画面を作る人、データの仕組みを作る人、業務を整理する人、確認する人 |
| ② 何か月かかるか | ヒアリング、設計、開発、テスト、データ移行、切り替え |
| ③ 1人月あたりの単価 | 会社の規模や技術者の経験で変わる。ここは会社ごとに幅がある |
つまり「予算が足りない」は、ほとんどの場合「用意できる人工が足りない」という意味です。だから、予算を先に伝えることに意味があります。使える人工が決まれば、そこに何を入れるかを一緒に考えられるからです。
この考え方を実際の案件に当てはめた例は「予算500万円以内で業務管理システムを作る方法」に書いています。

規模ごとの目安
pegでお受けしている範囲での目安です。会社によって単価が違うので金額はずれますが、「どれくらいの量なのか」を測る物差しとしてお使いください。
| 目安の費用 | どんなもの | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 50万〜150万円 | ひとつの業務だけを置き換える。使うのは社内の数人。画面は数枚。既存のExcelやAccessの代わりになるもの | 1〜2か月 |
| 150万〜500万円 | 複数の業務がつながる。帳票の出力、CSVでの受け渡し、担当ごとの権限が必要。使うのは1つの部署 | 2〜4か月 |
| 500万〜1,000万円 | 社外の人が使う画面(会員・受講者・申請者など)と、管理する側の画面の2系統。外部サービスとの連携がある | 4〜7か月 |
| 1,000万円以上 | 組織の中心になる仕組みの置き換え。複数の部署、多くの既存システムとの連携、長い移行期間 | 7か月以上 |
自社の場合にどの段に来るかは、手元の資料を入れて概算を出せる見積シミュレーターでも確かめられます。
どの段に来るか見当をつけたい方は、3つの質問でわかる簡易診断もお使いください。
同じ機能でも金額が変わる5つの要因
1. 使う人が社内だけか、社外にもいるか
ここがいちばん大きいところです。社外の人が使う画面には、ログイン、権限、問い合わせへの備え、スマートフォン対応、そして「操作を間違えても壊れない」作りが必要になります。同じ機能でも作る量が倍近くになることがあります。
2. 独自のルールがどれだけあるか
規程や定款、業界の決まりに沿った例外処理が多いほど、既製品では足りず、確認と作り込みが増えます。「この場合だけは別扱い」が何個あるかを数えてみてください。
3. 既存のデータをどこまで持っていくか
長年使った名簿ほど、重複や表記のゆれが残っています。この整理は、意外と大きな作業です。ここは発注側で担うこともできます(次の章)。
4. ほかのシステムとつなぐか
会計ソフト、決済、メール配信、既存の基幹システム。CSVでの受け渡しで済むなら安く、自動連携が必要なら高くなります。まずCSVで始める判断は、たいていうまくいきます。
5. いつまでに必要か
期限が近いと、人数を増やして間に合わせることになり、費用が上がります。逆に半年の余裕があれば、少人数で順に作れます。期限は費用に直結します。
機能を削らずに費用を抑える方法
予算が足りないときに「機能を削る」のは、実はいちばん筋の悪い方法です。削った機能はたいてい業務に必要なもので、結局は手作業として残り、システムを入れた意味が薄れます。
pegでは、次の順で考えます。
- 1
発注する側で担える作業を引き受ける
データの整理、テストの一部、マニュアルの作成。ここは業務を知っている方がやったほうが早く、そのぶん人工が減ります。実際に費用を抑えられる余地がいちばん大きいのはここです。
- 2
作る順番を分ける
機能を削るのではなく、今期に作るものと来期に回すものに分けます。いちばん手間のかかっている業務から順に、使いながら足していきます。
- 3
連携をCSVから始める
自動連携を最初から作らず、まずCSVの書き出し・取り込みで回します。運用が固まってから自動化するほうが、作り直しが起きません。
- 4
確立された技術で作る
珍しい技術や新しすぎる仕組みは、調べる時間と、後で直せる人が限られるという二重の費用がかかります。広く使われている技術で作れば、保守も引き継ぎも安く済みます。
それでも足りないときは
予算をどうしても超える場合は、pegは正直に「この予算では難しい」とお伝えします。無理に収めて、動かないものを納品するほうが、お互いに損だからです。予算を追加していただくか、時期を改めるか、他社をご検討いただくか。その判断の材料はお出しします。
見積もりを比べるときに見る場所
複数社の見積もりを並べたとき、合計金額だけを見ると必ず判断を誤ります。次の3つを見てください。
- 工程ごとに分かれているか:要件定義/設計/開発/テスト/データ移行/保守。ひとまとめの「システム開発一式」は中身が読めません
- テストとデータ移行が入っているか:ここが抜けている見積もりは安く見えますが、後から追加になります
- 公開後の費用が書いてあるか:月額の保守、サーバー代、ドメイン代。初期費用だけを比べても意味がありません
詳しくは「システム開発の見積もりの読み方|発注前に確認したす10項目」に10項目でまとめています。同じ条件で見積もりを取るには、提案依頼書(RFP)テンプレートをお使いください。
pegの考え方
pegは10万円からご相談をお受けしています。小さい案件でも受けるのは、まずひとつの業務を動く形にして、使いながら次を決めるほうが、結果として早く安く済むと考えているからです。
見積もりは工程ごとに分けてお出しします。納品物にはプログラム・設計の資料・管理者の権限を含め、契約書に明記します。支払いは着手・画面確定・納品の段階に分けます。納品後3か月以内の不具合は無償で対応します。これらはすべて契約で決めています。
費用の話は、仕様が固まっていなくてもできます。むしろ、固める前に一度話したほうが、無駄な分を削れます。見積シミュレーターで機能一覧と概算を出してから、その紙を持ってご相談いただくのがいちばん早い進め方です。
よくあるご質問
Q見積もりを取るだけでも費用はかかりますか?
かかりません。ヒアリングと概算のご提示まで無料です。
Q仕様が決まっていなくても金額は出せますか?
出せます。いま困っていることと、いま使っている画面や帳票を見せていただければ、作る範囲を整理したうえで概算をお出しします。仕様書をご用意いただく必要はありません。
Q月額の保守費用はどれくらいかかりますか?
作ったものの規模と、どこまで見るか(障害対応だけか、機能追加も含むか)で変わります。見積もりの段階で、初期費用とは別に内訳をお出しします。
Q補助金は使えますか?
案件によります。補助金の採択前・採択後どちらのご相談もお受けしています。制度の要件によって進め方や時期が変わるので、早めにご相談ください。
Q提示された金額が妄当かどうか、判断する方法はありますか?
工程ごとの内訳を出してもらい、各工程に何人月かかる想定かを聞いてください。合計人月と金額を割れば、その会社の単価が見えます。そこが他社と比べられる唯一の数字です。
まずは話すところから
仕様書がなくても、社内にエンジニアがいなくても大丈夫です。実現したいことを伺い、進め方と概算をご提案します。ご相談は無料です。
