RFPを書くと、何が変わるのか
1. 見積もりが比べられるようになる
同じ紙を渡していない相見積もりは、比べても意味がありません。A社は保守込み・B社は開発だけ、という形で金額の中身が違ってしまうからです。前提をそろえるのがRFPの一番の役目です。
2. 「思っていたものと違う」が減る
作り始めてからの食い違いは、最初に何を期待しているかを文字にしていないことから起きます。1枚でも書いてあると、開発会社は必ずそれを確認しにきます。
3. 社内・理事会の合意が取りやすくなる
協会や自治体では、稟議や理事会を通すために「なぜ必要か」を説明する資料が要ります。RFPはそのまま説明資料になります。

決めなくていいこと、決めておくこと
RFPを書こうとして手が止まるのは、たいてい「仕様を決めなければいけない」と思っているからです。仕様は、開発会社と一緒に決めるものです。発注側が最初に決めるのは、次の3つだけで足ります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 決めておくこと | ① いま何に困っているか ② どうなれば成功と言えるか ③ 予算と期限、絶対に外せない条件 |
| 決めなくてよいこと | 画面の数、項目の一覧、使う技術、データベースの構造、細かい機能の仕様 |
| 書けるなら書くとよいこと | いま使っているシステムや道具、利用する人数、繁忙期、関係する規程やルール |
「決めなくてよいこと」を無理に埋めると、かえって実態と合わない要求になり、見積もりが高く出ます。空欄のまま「ご提案ください」と書くほうが、良い提案が返ってきます。
コピーして使えるRFPテンプレート
下の枠の中を、そのままコピーしてお使いください。A4で2〜3枚に収まる分量で十分です。項目名だけ残して、中身は自社の言葉で書き換えてください。
この11項目がそろっていれば、どの開発会社に渡しても同じ土俵で見積もりが出ます。逆に、ここから項目を減らすと比較できなくなります。
11項目の書き方と記入例
協会の会員管理システムを例に、実際の書き方を示します。自社の状況に置き換えてお使いください。
| 項目 | 書き方のコツ | 記入例 |
|---|---|---|
| 3. 背景と現状 | 「いつから・誰が・どう使っているか」を時系列で | 2012年に構築した会員管理システムを事務局5名で使用。会員約12,000名。開発した会社との保守契約は2024年に終了 |
| 4. 困っていること | 数で言えるものは数で書く。感想ではなく事実を | 年次の会費請求に事務局2名で延べ40時間かかる/住所変更の反映が手作業/会員証の発行が外注で1件あたり時間がかかる |
| 5. 目的 | 「機能」ではなく「状態」で書く | 会費請求の作業を1/3に減らし、会員自身が住所変更を登録できるようにしたい |
| 6. 対象範囲 | 外すものを書くほうが役に立つ | 対象:会員情報・会費請求・会員向け画面/対象外:会計システムとの自動連携(今回はCSV出力まで) |
| 7. いま使っているもの | ファイル名まで書くと精度が上がる | 会員管理システム(社名不明)/Excel「会費管理2025.xlsx」/会計ソフト○○/郵送ラベルは別ソフト |
| 8. 外せない条件 | 規程・法令は条文名まで | 個人情報保護法に基づく安全管理措置/定款第◯条の会員区分に対応/事務局はWindows、会員はスマートフォン利用が多い |
| 9. 予算と時期 | 幅でよい。理由を添える | 500〜800万円を想定。2027年4月の会費請求から使いたいため、2027年2月末までに稼働 |
| 10. 提案してほしいこと | 費用は「内訳つきで」と明記する | 費用は要件定義・設計・開発・テスト・移行・保守に分けてご提示ください |
| 11. 選定方法 | 質問の受付期間を必ず設ける | 提出期限◯月◯日/質問は◯月◯日まで(メール)/価格・実績・体制・保守内容で評価 |
見積もりを受け取ったあとの読み方は「システム開発の見積もりの読み方」にまとめています。
よくある失敗5つ
- 機能を並べただけになっている:「検索機能」「一覧機能」と書いても、何のために必要かが分からないと、開発会社は一番安く済む解釈で見積もります
- 予算を書かない:「言うと足元を見られる」と思われがちですが、逆です。枠が分からないと各社が別の規模で提案してしまい、比較できません
- 期限の理由を書かない:「3月末まで」だけでは、動かせる日程か分かりません。「4月の会費請求に間に合わせたい」と書けば、代替案が出てきます
- いまの資料を出し惜しみする:画面の写真、帳票、Excelの実物。これを見せるのが、どんな説明文より早く正確です
- 質問を受け付けない:質問できないRFPには、各社が保険をかけた高い見積もりを出します
予算を書くかどうかで迷ったら
枠を書いてください。金額を伝えると上限いっぱいで出してくる会社は、そもそも選ばないほうがよい相手です。まともな会社は「この予算ならここまで、超えるならこの部分」と分けて提案してきます。予算の考え方は「予算500万円以内で業務管理システムを作る方法」に書いています。
渡したあとの進め方
- 1
3〜5社に同じ資料を渡す
多すぎると読む側も選ぶ側も消耗します。規模の違う会社を混ぜると、価格帯の相場がつかめます。
- 2
質問期間を1〜2週間とる
質問と回答は全社に共有します。ここで出てくる質問の質が、その会社の理解度を表します。
- 3
提案を受け、説明の場を設ける
書面だけで決めないでください。1時間でも話すと、担当者が業務を理解しているかどうかが分かります。
- 4
金額だけで決めない
納品物に何が含まれるか、担当が1人ではないか、公開後の対応はどうか。この3点は必ず確認してください。詳しくは「大手のシステム会社と小さな会社は何が違うのか」に整理しています。
- 5
選ばなかった会社にも連絡する
次の機会につながります。理由を一言添えると、相場観も残ります。
RFPが書けないときは
ここまで書いておいて矛盾するようですが、RFPは必ずしも必要ではありません。pegに届くご相談の多くは、RFPどころか仕様書もない状態から始まります。
書けない理由はだいたい決まっています。いまの仕組みの中身を説明できる人が社内にいない、何が問題なのかは分かるが言葉にできない、そもそも何を作れば解決するのか分からない。どれも珍しいことではありません。
pegでは、いま使っている画面、印刷している帳票、Excelのファイル、そして日々の業務を担当している方へのヒアリングを材料に、こちらで機能一覧と進め方を整理してご提案します。発注側でエンジニアを用意していただく必要はありません。整理した内容は、そのまま他社に渡せる資料としてお使いいただいてかまいません。
その場で試したい方は、見積シミュレーターをお使いください。企画書・仕様書・書きかけのメモなど、手元の資料を入れると、機能の一覧と概算の見積がその場で出ます。無料です。概算見積書は、メールアドレスの確認後に表示します。出てきた機能の一覧と概算見積書を、そのままRFPの3〜6項目の下書きに使えます。
よくあるご質問
QRFPは何ページくらい必要ですか?
A4で2〜3枚で十分です。長さより、困っていることと目的がはっきり書いてあるかが重要です。参考資料(画面の写真、帳票、Excelの実物)は別添にしてください。
Q技術的なことが分からなくても書けますか?
書けます。むしろ技術の指定は書かないほうがよい提案が集まります。「Windowsのパソコンで使う」「会員はスマートフォンから使う」のように、使う場面を書いてください。
Q何社に送るのが適切ですか?
3〜5社です。多いほど良い提案が集まるわけではなく、対応の手間が増えるだけです。規模の違う会社を混ぜると、金額の幅が見えて判断しやすくなります。
Q予算がまだ決まっていない場合はどう書けばよいですか?
「予算は未定のため、規模別に2案ご提示ください」と書いてください。各社が最小構成と推奨構成を出してきます。その金額を見てから社内の枠を決めるほうが、現実的です。
Qこのテンプレートは自由に使ってよいですか?
ご自由にお使いください。出典の記載も不要です。改変も問題ありません。
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金額だけでは比べられません。提案がばらつく5か所、発注側で先に決めておく5項目、提案書を読む順番と相見積もりの進め方6ステップを整理しました。
まずは話すところから
仕様書がなくても、社内にエンジニアがいなくても大丈夫です。実現したいことを伺い、進め方と概算をご提案します。ご相談は無料です。
