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官公庁(入札案件):予防接種に関する保護者の不安に、LINE上のAIチャットで応える

子どもの予防接種について、保護者が抱える不安や疑問。それに、普段から使っているLINEで気軽に答えられる仕組みがあれば——。官公庁の入札案件として、pegは調査データとヒアリングだけを材料に、保護者の不安を軽減するLINE上のAIチャットを構築しました。

事例の概要

発注者
官公庁(入札案件のため機関名は非掲載)
背景
予防接種に関する保護者の不安や疑問を軽減したい
pegが使った材料
調査データと、ご担当者へのヒアリングのみ
結果
保護者の不安や疑問に応える、LINE上で動くAIチャットを構築

課題:保護者の「ちょっと聞きたい」に応える窓口がほしい

予防接種については、「副反応が心配」「スケジュールがよく分からない」「この場合は受けても大丈夫?」など、保護者がさまざまな不安や疑問を持つことがあります。こうした不安は、窓口に電話するほどではないけれど気になる——という形で抱えられがちです。

行政として情報を届ける手段はあっても、次のような難しさがあります。

  • 保護者が知りたいタイミングで、知りたいことに答えるのが難しい
  • ウェブサイトや配布物では、一人ひとりの疑問に合わせた案内になりにくい
  • 「どんなことに不安を感じているか」を踏まえた情報提供が求められる
スマートフォンを手に持って操作している様子

進め方:調査データから「保護者の不安」を読み取る

pegが材料にしたのは、保護者の意識や不安に関する調査データと、ご担当者へのヒアリングです。調査データには、保護者が実際にどのようなことに不安を感じているかが表れています。そこから、AIチャットが答えるべき内容と、答え方の方針を組み立てました。

  1. 1

    調査データを読み解く

    保護者がどのような点に不安や疑問を持っているかを、調査データから整理しました。

  2. 2

    ヒアリングで方針をすり合わせる

    行政として伝えるべきこと、伝え方で気をつけることなどを、ご担当者に伺いました。

  3. 3

    会話を設計する

    保護者が気軽に質問でき、不安の軽減につながる応答になるよう、AIチャットの振る舞いを設計しました。

  4. 4

    LINE上で動く形にする

    普段から使われているLINEで利用できるAIチャットとして構築しました。新しいアプリを入れてもらう必要がない点も、保護者にとっての使いやすさにつながります。

ポイント:「ある資料」から出発する

AIチャットのために新しく大量の資料を用意するのではなく、すでにある調査データとヒアリングだけを材料にしました。行政機関が持つ調査や統計は、住民の声を反映した貴重な材料です。

設計で決めたこと:正確さが求められる分野でAIに答えさせるために

予防接種は、誤った案内が保護者の判断に影響しかねない分野です。そこで、AIに何をどこまで答えさせるかを場面ごとに決め、友だち追加の直後から、写真が送られたとき、AIが応答できないときまで、LINE上の12の場面について応答を設計しました。主な決めごとは次のとおりです。

1. できること・できないことを、最初に伝える

友だち追加の直後に、このチャットでできること(予防接種の一般的な情報の案内、不安や疑問の整理、医療機関で相談するときの質問の準備)と、できないこと(診断、接種してよいかの判断、個別の接種スケジュールの決定、緊急性の判断)を示します。母子健康手帳の写真やお子さんの名前は送らないよう、ここでお願いしています。

2. 急ぐ相談では、会話を続けさせない

高い熱、けいれん、ぐったりしている、水分がとれないといった言葉があれば、回答の先頭に「急ぐときの連絡先」として小児救急電話相談(#8000)と119番を電話ボタンつきで出します。次に聞く質問の候補はあえて出さず、受診につなげます。直前の発言が急ぐ内容だった場合は、続く1往復も同じ扱いにしています。

3. 判断が必要な相談は、専門家につなぐ

免疫を抑える薬を使っているお子さんの接種など、接種してよいかの判断が必要な相談には、AIは答えを出しません。主治医と接種医の両方に確認するよう案内し、そのときに伝えるとよい情報(薬の名前や量、使っている期間など)を示します。

4. 何から聞けばよいか分からない人には、こちらから整理して示す

「何から聞けばいいか分からない」という相談に聞き返すのではなく、「いつから始まるか」「最初にどのワクチンがあるか」「どこで確認するか」を整理して示します。質問を考える負担を保護者に戻さないためです。

5. 個人情報は、記録する前に伏せる

お子さんの名前や生年月日、電話番号などは、AIに渡す前・記録する前に自動で伏せ字にします。写真やスタンプの内容は確認も保存もしません。LINEの表示名や利用者のIDも保存せず、元に戻せない符号に置き換えています。会話記録の保存期間と、削除した記録の残し方まで決めました。

6. 言い回しは、決まった表現に直す

AIが作った回答のあとに、ご担当者が指定した言い換えを機械的に当てはめます。急ぐ相談で「安心ですね」「様子を見ながら」のように不安を軽く扱う表現が出たときは、必ず取り除きます。

7. AIが止まっても、急ぐ相談への案内は返す

複数のAIを主・予備の順に自動で切り替えます。すべてが応答できない場合でも、急ぐ相談には決まった案内文を返します。

8. 公開前に、答えにくい質問で確かめる

急ぐ相談や判断を求める相談など、間違えると困る質問60問を用意し、回答を自動で確認しました。LINE上での動きも19項目を通しで確認しています。

9. メニューは1つに絞る

当初は画面下に6つのボタンを置きましたが、「ボタンで進めるもの」と受け取られやすいという声を受けて、「このチャットについて」の1つに絞りました。聞きたいことは自由に入力できることを、画像と案内文で伝えています。

結果

  • 官公庁の入札案件として、予防接種に関する保護者の不安を軽減するためのLINE上のAIチャットを構築しました。
  • 材料は調査データとヒアリングのみでした。
  • LINE上の12の場面について、実際の文言と回答例、決めた理由を画面ごとにまとめた画面仕様書を作成し、ご担当者と確認しながら仕上げました。
  • 回答の参考情報や会話の履歴は、管理画面で確認・更新できます。

この進め方が合う組織

次のような状況にある行政機関・団体の方は、同じ進め方が役立つ可能性があります。

  • 住民や利用者からの「よくある質問」への対応を、もっと身近な形にしたい
  • 調査やアンケートの結果は手元にあるが、施策やサービスに活かし切れていない
  • LINEなど、住民が普段使っているツールで情報を届けたい
  • AIを活用したいが、何ができるのか、どう始めればよいか分からない
  • 入札・公募の案件で、仕様を具体的なサービスの形にできるパートナーを探している

自治体でLINEチャットボットを検討するときの進め方や、調達仕様書に書く項目は、自治体のLINEチャットボット導入ガイドにまとめています。

ほかの事例:日本眼科医会の会員管理システム/ドローン操縦士協会の講習・実技時間管理システム/導入事例一覧

よくあるご質問

QLINEで動くAIチャットは、どのような資料があれば作れますか?

A

この事例では、調査データとヒアリングだけを材料にしました。アンケート結果、よくある質問の一覧、既存の案内資料など、お手元にある資料から出発できます。何が使えるかはご相談の中で一緒に確認します。

Q医療や制度など、正確さが求められる分野でもAIチャットを使えますか?

A

使い方の設計次第です。回答の範囲をあらかじめ決め、専門的な判断が必要な質問は窓口や専門家へ案内するなど、分野に合わせた方針をご担当者と相談しながら決めていきます。

Q入札・公募の案件についても相談できますか?

A

はい、ご相談いただけます。本事例も官公庁の入札案件です。仕様の内容を踏まえて、どのような形で実現できるかを無料のご相談でお話しし、進め方と概算をご提案します。

まずは話すところから

仕様書がなくても、社内にエンジニアがいなくても大丈夫です。実現したいことを伺い、進め方と概算をご提案します。ご相談は無料です。