トップ / コラム / ヒアリングシート

システム開発のヒアリングシート|発注前に自社で埋めておく7つの項目

開発会社との打ち合わせが、毎回「現状の説明」で終わってしまう。同じ話を何社にもする。そうしているうちに数か月が過ぎる。よくある話です。

先に手元でまとめておくと、初回の打ち合わせから中身の話に入れます。このシートは、pegが実際のヒアリングで伺っている内容を、そのまま公開したものです。

全部埋める必要はありません。埋まらない項目があること自体が、打ち合わせで話すべき論点になります。

コピーして使えるヒアリングシート

ダウンロード版(Excel)記入欄と「記入例」シートつきです。会員登録もメールアドレスの入力も不要で、そのままダウンロードできます。社内で自由に編集・配布いただけます。
Excelでダウンロード

下の枠の中をコピーして、分かる範囲で埋めてください。A4で2枚程度になります。

■ システム開発 ヒアリングシート 【1】使う人  ・使う部署/担当者の人数:  ・社外の人も使うか(会員・受講者・申請者など):  ・その人数の目安:  ・パソコンかスマートフォンか: 【2】いま使っているもの  ・システムの名前と導入時期:  ・作った会社(分かれば):  ・保守契約の有無と期限:  ・使っているExcel・Accessのファイル名:  ・紙でやりとりしている書類:  ・ほかに使っているサービス(会計・決済・メール配信など): 【3】業務の流れ  ・毎日やること:  ・毎月やること:  ・年に数回だけやること(繁忙期・締切):  ・誰が確認・承認するか:  ・外部に出している作業(印刷・発送など): 【4】困っていること(数で書けるものは数で)  ・時間がかかっている作業と、そのおおよその時間:  ・間違いが起きやすいところ:  ・いまはあきらめていること: 【5】どうなれば成功か  ・実現できたら成功と言える状態(2〜3行):  ・いちばん楽になる人は誰か: 【6】外せない条件  ・守るべき規程・法令・定款の条文:  ・個人情報の扱いで決まっていること:  ・連携が必要なシステム:  ・使う端末とブラウザ: 【7】予算と時期  ・予算の枠(幅で可):  ・使い始めたい時期:  ・その時期にしたい理由:  ・決裁の流れ(誰の承認が必要か・いつ会議があるか):

このシートと、提案依頼書(RFP)テンプレートを合わせると、複数社に同じ条件で見積もりを依頼できる状態になります。

なぜこの7つを聞くのか

7つの項目が何を決めるか
項目これが分かると何が決まるか
1. 使う人費用がいちばん大きく動くところ。社外の人が使う画面があるかどうかで、作る量が倍近く変わります
2. いま使っているもの作り直しか、引き継ぎか、部分的な置き換えかが決まります。ファイル名まで分かると精度が上がります
3. 業務の流れ画面の数と、いつ切り替えるかが決まります。繁忙期に切り替えるわけにはいきません
4. 困っていること優先順位が決まります。時間を数字で書けると、投資に見合うかを自分たちで判断できます
5. どうなれば成功か完成の定義になります。ここが曖昧なまま進むと「思っていたものと違う」が起きます
6. 外せない条件作り方が決まります。ここを後から出されると、作り直しになります
7. 予算と時期作る範囲が決まります。予算は人工(にんく)とほぼ同じ意味です

費用の考え方は「予算500万円以内で業務管理システムを作る方法」に詳しく書いています。

テーブルに書類を広げて話し合っている人たちの手元

いちばん大事なのは「例外」

実務の経験から言うと、システムが失敗する原因のほとんどは例外処理です。「基本はこうだが、この場合だけは別」という決まりが、どの組織にも必ずあります。

  • 会費は年額だが、年度途中の入会は月割りにしている
  • 修了証は当日発行だが、実技が10時間に満たない人は発行できない
  • 請求書は郵送だが、一部の会員だけはメールで送っている
  • 承認は課長だが、金額が一定を超えると部長に上がる

こうした決まりは、たいてい誰も文書に書いていません。長年の担当者の頭の中にあります。ヒアリングシートの【3】に、思いつくかぎり書き出してください。ここが埋まっているかどうかで、見積もりの正確さがまったく変わります。

書き出しのコツ

「いつもと違う対応をしたのはどんなときか」を、担当者の方に聞いてみてください。「そういえば、あのときは…」から出てくるものが、いちばん重要な要件です。

答えられなくていい項目

次の項目は、埋まらなくてまったく問題ありません。むしろ、ここを無理に埋めると実態と合わない要求になります。

  • 画面の数や項目の一覧:一緒に決めるものです
  • 使う技術やデータベースの種類:開発会社が提案する部分です
  • 細かい機能の仕様:業務の流れが分かれば、こちらで組み立てます
  • いまのシステムの中身:分からなくて当然です。動いている画面と帳票があれば進められます

仕様書がない状態からの進め方は「要件定義を発注側だけで抱えない進め方」にまとめています。

使い方の例

  1. 1

    担当者2〜3人で30分だけ埋める

    完璧を目指さず、分かるところだけ。埋まらない欄には「不明」と書いてください。それも情報です。

  2. 2

    いまの画面と帳票を集める

    画面の写真(スクリーンショット)と、実際に印刷している帳票。これがシートより雄弁です。

  3. 3

    そのまま開発会社に渡す

    複数社に相談する場合は、全社に同じものを渡してください。返ってくる質問の質で、その会社の理解度が分かります。

  4. 4

    質問された内容を追記していく

    打ち合わせのたびにシートが厚くなります。これがそのまま要件定義の材料になります。

pegの進め方

pegでは、このシートが埋まっていなくてもご相談をお受けしています。実際、届くご相談のほとんどは「困っていることは言えるが、何を作ればいいのか分からない」という状態から始まります。

その場合は、いま使っている画面、印刷している帳票、Excelのファイル、そして日々その業務をしている方へのヒアリングを材料に、こちらで機能一覧と進め方を整理してご提案します。発注する側でエンジニアを用意していただく必要はありません。

先に機能一覧と概算だけ見たい方は、見積シミュレーターをお使いください。このシートを埋めたものをそのまま入れれば、作るものの範囲と概算がその場で出ます。

よくあるご質問

Q全部埋めないと相談できませんか?

A

いいえ。1行も埋まっていなくてもご相談いただけます。このシートは、打ち合わせを早く進めるための道具です。

Q社内の誰に聞けばよいですか?

A

その業務を毎日している方です。管理職より、実際に手を動かしている方のほうが、例外処理を正確にご存じです。

Qこのシートは自由に使ってよいですか?

A

ご自由にお使いください。出典の記載も不要です。改変も問題ありません。他社への相談にお使いいただいてもかまいません。

Q埋めた内容を外に出しても大丈夫ですか?

A

会員の氏名や個人情報そのものは書かないでください。件数や項目名だけで十分です。pegでは、必要に応じて秘密保持契約(NDA)を締結したうえで詳細を伺っています。

あわせて読みたい

システムを作る前に業務をどこまで整理するか|見直す範囲の決め方
シートを埋めながら、整理が必要な場所と触らずに残す場所を決める。4か所と3か所の線引き。

まずは話すところから

仕様書がなくても、社内にエンジニアがいなくても大丈夫です。実現したいことを伺い、進め方と概算をご提案します。ご相談は無料です。