送ったメールが届かない|迷惑メール扱いを直す3つの設定と、一斉送信のときの注意
「案内を送ったのに、届いていないと言われた」「こちらから出すと迷惑メールに入ってしまう」。2024年のはじめごろから、この相談が急に増えました。
原因は、送り方が悪くなったからではありません。受け取る側の基準が変わったためです。GmailとYahoo!メールが、送信元を確かめられないメールを受け取らない方向に揃えました。これまで通っていたものが、ある日から通らなくなった、というのが実際のところです。
直し方は決まっています。ドメインに3つの設定を入れて、送り方を少し整えるだけです。順を追って説明します。
「届いていない」には2つの状態があります
対処が変わるので、まずどちらかを見分けます。
| 状態 | 相手側の見え方 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 迷惑メールフォルダに入っている | 探せば見つかる | 相手に迷惑メールフォルダを見てもらう |
| 受け取りを断られている | どこにも届いていない | 送った側にエラーのメールが戻ってくる |
戻ってきたエラーのメールには理由が書かれています。本文に 5.7.26 という番号があれば、送信元を確かめられなかったという意味です。この記事の3つの設定で直ります。
なお、2025年11月からGoogleが判定を厳しくしていて、以前は迷惑メールフォルダ行きで済んでいたものが、受け取り拒否に変わってきています。「前は届いていたのに」という場合は、この変化が理由であることが多いものです。

なぜ急に届かなくなったのか
2024年2月1日から、Gmailに送るすべてのメールに共通の条件がつきました。Yahoo!メールもほぼ同じ時期に揃えています。2025年5月からはOutlook.comなども同じ方向に動きました。
共通の条件は、次の5つです。
- SPFかDKIMのどちらかで、送信元のドメインを確かめられること
- 送信に使うサーバーの名前とIPアドレスが、正引きと逆引きの両方で引けること
- 暗号化(TLS)された経路で送ること
- 受け取った人に「迷惑メール」と報告される割合が0.3%を超えないこと。目安は0.1%未満です
- 差出人のアドレスを詐称していないこと
0.3%という数字は、1万通送って30件という割合です。思ったより小さい数字で、心当たりのない相手に一斉送信すると簡単に超えます。
3つの設定(SPF・DKIM・DMARC)
3つとも、ドメインの住所録にあたるDNSというところに1行ずつ書き足す設定です。メールの中身には何の影響もありません。郵便にたとえると、こうなります。
| 名前 | していること | 郵便でいうと |
|---|---|---|
| SPF | このドメインのメールを出してよいサーバーの一覧を公開する | 差出人の住所が、本当にその住所かを確かめる |
| DKIM | メールに電子的な署名をつけ、途中で書き換えられていないことを示す | 封筒に封印を押す |
| DMARC | 上の2つに通らなかったメールをどう扱うかを宣言し、結果の報告を受け取る | 封印のない郵便が来たときの扱いを、受取人に伝えておく |
設定するのは、ドメインを管理している場所です。自社でドメインを取っているなら、そのサービスの管理画面。ホームページの制作会社に任せているなら、その会社に依頼します。依頼するときの言い方は、これで通じます。
依頼するときの文面
「当社ドメインについて、SPF・DKIM・DMARCのレコードを設定してください。メールの送信に使っているのは(サービス名)です。DMARCのポリシーは、はじめは none でお願いします。」
DMARCのポリシーには none、quarantine、reject の3段階があります。いきなり厳しくすると、自分たちの正規のメールまで止まることがあります。まず none で始めて、届く報告を1か月ほど見てから上げるのが安全な順番です。
DKIMの鍵の長さは1024ビット以上が条件で、対応していれば2048ビットが推奨です。ここは設定する側に伝えておけば済みます。
1日5,000通を超えるかどうかで変わること
Googleは、個人のGmail宛に24時間で5,000通を超えて送る送信者を「大量送信者」として、条件を増やしています。数えるのは、同じ主要ドメインから出たメールの合計です。サブドメインを分けても合算されます。そして、一度超えると、その後も大量送信者として扱われ続けます。
| 条件 | 5,000通以下 | 5,000通超 |
|---|---|---|
| SPF | SPFかDKIMのどちらか | 両方必要 |
| DKIM | 同上 | 両方必要 |
| DMARC | 任意(入れたほうがよい) | 必須(noneでも可) |
| 差出人のドメインの一致 | — | 必要 |
| ワンクリックでの配信停止 | — | 必要(2024年6月から) |
| 迷惑メール報告の割合 | 0.3%を超えない。0.1%未満が目安 | |
会員1,500名の団体が年に2回アンケートを送る、といった規模なら5,000通には届きません。ただ、届かない状態を直すという意味では、3つとも入れておくのがいちばん確実です。設定の手間は、1つでも3つでもほとんど変わりません。
なお、Yahoo! JAPANは5,000通のような通数の基準を公表していません。通数にかかわらず、送信元を確かめられることを求めています。
一斉送信のときに気をつける5つ
設定を入れても、送り方が雑だと迷惑メールの報告が増えて、結局届かなくなります。会員や住民に一斉に送る場面では、次の5つを押さえます。
- 宛先の名簿を整理してから送る。 退会した方、宛先不明で戻ってくるアドレスを残したまま送ると、届かない割合が上がって評価が下がります。前回エラーで戻ってきたアドレスは、送る前に外します
- 配信を止める方法を、本文の分かりやすい位置に置く。 止め方が見つからないと、人は迷惑メールのボタンを押します。それが0.3%の数字に直結します
- 最初から全員に送らない。 新しい送り方に変えた直後は、少しずつ量を増やします。いきなり数千通を出すと、受け取る側に不自然に映ります
- 件名と差出人名を、受け取る人が知っている名前にする。 「no-reply@」より、団体名が見えるほうが報告されにくくなります
- 同じ内容を短い間隔で繰り返さない。 未回答者への催促は必要な場面がありますが、間隔と回数を決めてから送ります
アンケートや申込みの受付を仕組みにする場合、この5つは最初から組み込んでおけます。あとから足すと、名簿の持ち方から見直すことになります。
いま届いているかを確かめる手順
- 自分のGmailアドレスに1通送ってみる。 届いたメールを開き、右上の三点のメニューから「メッセージのソースを表示」を選びます。上のほうに SPF、DKIM、DMARC の3行が出て、それぞれ PASS と書いてあれば通っています
- 戻ってきたエラーを読む。 5.7.26 は送信元を確かめられない、550 は受け取り拒否です。文面に書かれているURLに、理由が書かれていることもあります
- Google Postmaster Tools に登録する。 自分のドメインから送ったメールが、どのくらい迷惑メールと報告されているかを毎日見られます。無料です。一斉送信をする団体は、入れておくと状況が数字で分かります
- DMARCの報告を受け取る。 DMARCを設定すると、受け取った側から集計が届きます。自分のドメインを装った迷惑メールが出回っていることに、ここで気づく場合もあります
pegのやり方
会員や住民へのお知らせ、アンケートの配信を含む仕組みを作るとき、私たちは次のようにしています。
- 送信は、実績のある配信サービスを通します。自前のサーバーから直接出すと、送信元の評価を一から積み上げることになり、最初の数か月が届きにくくなります
- 配信停止と、同意の撤回を、最初から仕組みに入れます。あとから足すより安く、確実です
- 宛先不明で戻ってきたアドレスを自動で外す処理を入れます。名簿が自然にきれいになります
- SPF・DKIM・DMARCの設定内容は、発注側にそのまま渡します。私たちの手を離れても、ご自身で確認できる状態にしておくためです
いま使っている仕組みが届いているかどうかを見てほしい、というご相談も受けています。設定を見るだけなら、その場でお答えできることがほとんどです。
よくあるご質問
設定を入れれば、必ず届くようになりますか。
受け取りを断られる状態は、ほぼ解消します。迷惑メールフォルダに入るかどうかは、設定に加えて、受け取った人がどう反応したかの積み重ねで決まります。設定は土台で、そのうえに送り方が乗ります。
ドメインを持っていません。プロバイダのアドレスから送っています。
その場合、設定はプロバイダ側で済んでいるはずです。それでも届かないなら、送る量や内容のほうに理由があります。ただ、団体として案内を出すなら、独自のドメインを持つほうが、相手から見て身元がはっきりします。
DMARCを厳しくすると、何か止まりますか。
外部のサービス経由で出しているメール(予約システムの自動返信、年賀状の発送代行など)が止まることがあります。だから none から始めて、報告に出てくる送信元をすべて把握してから上げます。急ぐ理由がなければ、半年くらいかけて構いません。
設定は誰に頼めばよいですか。
ドメインを管理している会社です。ホームページの制作会社、レンタルサーバーの会社、またはドメインを取った会社のいずれかです。どこが管理しているか分からない場合は、お調べすることもできます。
アンケートの配信を考えています。何から決めますか。
宛先の数、送る回数、未回答の方への催促をどうするか、同意しない方の扱い。この4つが決まれば、仕組みの形はほぼ決まります。仕様書は要りません。見積シミュレーターに手元の資料を入れていただくと、機能の一覧と概算の目安がその場で出ます。
まずは話すところから
社内に分かる人がいない状態でも、手元にある材料から整理できます。何から話せばよいか決まっていなくてもかまいません。ご相談は無料です。
