資格・会員の更新期限を、人手で追わない|誰にいつ何を知らせるかから決める
更新の時期が近づくと、名簿から期限の近い人を書き出して、案内を送って、返ってきた申請を数えて、足りない人にもう一度連絡する。この一周を毎年手で回している事務局は少なくありません。人数が増えるほど、どこまで送ったかが分からなくなっていきます。
そこで出てくるのが「期限の◯日前に自動でメールを送る」という形です。ところが、公開されている更新の規程や手引きを並べて読むと、送る日を決めるより前に決めておくことがいくつもあります。送る日だけ決めても、送る相手が取り出せません。
この記事では、資格や会員の更新をシステムに任せるときに、先に決めておくことを整理します。根拠は、公開されている5つの団体の規程・手引きです。
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更新のたびに、同じ手作業が起きている
更新の管理でご相談をいただくとき、困っていることはだいたい次の5つに重なります。
- 期限の一覧を、毎年その時期に作り直している
- 案内を送った相手と、まだ送っていない相手が、送信済みメールの中にしかない
- 単位や点数が足りているかどうかが、申請を受け取ってから分かる
- 期限を過ぎた人の扱いが、担当者の記憶とメモの中にある
- 「事情があって今回は見送る」という人の記録が、どこにも残らない
どれも、案内の文面や送信のしかたの問題ではありません。案内を出す前に、誰を対象として取り出すのかが決まっていないために起きています。

対象者を取り出す条件は、期限だけではない
期限の日付だけで人を取り出すと、送る相手がずれます。規程のほうが、期限とは別の条件を並べて決めているからです。
NSCAジャパンの『資格更新の手引き』(2024年1月1日から2026年12月31日までの期間に対応するもの)では、更新の条件として、必要なCEUの取得、所定期間内の更新料の納付と手続き、CPR/AEDの認定を期限内のものとして保持していること、そして更新手続き期間の最終日にNSCAジャパンの会員であることの4つが挙げられています。期限が同じ日の人の中に、会員でない人と、付帯する認定を持っていない人が混ざります。
同じ手引きには、必要なCEUが認定を受けた時期によって5通りに分かれると書かれています。2023年以前の認定者は6.0、2024年は4.0、2025年は2.0、2026年1月1日から6月30日は1.0、2026年7月1日から12月31日の認定者は取得が不要です。期限はそろっていても、達成したかどうかの線が人によって違うということです。
等級で分かれる団体もあります。日本機械学会の計算力学技術者(CAE技術者)の資格更新のご案内(2023年度・第16回)では、5年間の積算ポイント数が2級で60ポイント、1級・上級で80ポイントと決められています。
| 規程が決めていること | 取り出す条件に入れるもの |
|---|---|
| 手続き期間の最終日に会員であること(NSCAジャパン) | その日時点で会員かどうかを判定する列 |
| 別の認定を期限内のものとして保持していること(同) | 付帯する資格の期限を、本体とは別に持つ |
| 必要数が認定時期で5通りに分かれる(同) | 認定を受けた年月を人ごとに保持し、必要数は設定から引く |
| 必要数が等級で分かれる(日本機械学会) | 等級を人ごとに保持し、等級ごとの必要数を設定として持つ |
つまり抽出の条件は「期限までの日数」ひとつではなく、「期限までの日数」と「等級・認定時期」と「付帯条件を満たしているか」の掛け合わせになります。この3つを別々の項目として持っておくと、条件を足したいときに画面を作り直さずに済みます。
いつ知らせるかは、制度側の受付期間から決まる
案内の時期は、送る側の都合ではなく、受付期間のほうが決めています。公開されている4つの例を並べると、形がそろっていないことが分かります。
| 団体・資格 | 規程・手引きに書かれている受付の期間 |
|---|---|
| 土木学会認定土木技術者(資格更新規程 第2条第1項) | 期限が満了する年度の1月1日から3月31日までの間に更新の申請を行わなければならない |
| 3学会合同呼吸療法認定士(認定更新申請の手引き・2026年) | 2026年4月1日(水)10時から9月30日(木)17時まで |
| 計算力学技術者(2023年度 資格更新のご案内) | 更新書類および更新料支払の受付期間は2024年1月16日(火)から2月14日(水)まで |
| 日本神経学会(認定更新に関する規定 第4条) | 申請期間などを記載した文書を、各自に郵便で送付する |
受付が半年近く開いている団体と、1か月弱で閉じる団体があり、開始と終了が時刻まで決められている団体もあります。ここに「期限の90日前に1通」のような一律の日数を当てると、受付が始まる前に届いて申請できない人と、締切の後に届く人が出ます。
ですから、受付期間の開始日と終了日は、制度の設定として日付で持つのが素直です。そのうえで案内の回数を決めます。受付が開いたことの案内、受付中の未申請者への案内、締切の直前の案内では、宛先の条件がそれぞれ違います。2回目は申請がまだ届いていない人だけ、3回目は申請が届いていない人のうち要件を満たしている人と満たしていない人で文面を分ける、という形になります。
案内を一律で全員に送る形にしていると、すでに申請を終えた人にも届きます。問い合わせがそのぶん増えるので、宛先の条件は回ごとに分けておくと事務局の手間が減ります。
送った記録ではなく、届いたかどうかを残す
NSCAジャパンの手引きには、通知はメールで行われるとしたうえで、会員を退会している場合や登録しているメールアドレスを更新していない場合には通知が届かないことがあり、その場合も資格を失うと書かれています。届かなかったことが、資格を失う理由を打ち消さないということです。
この一文は、記録の持ち方をそのまま決めています。「一斉に送信しました」だけでは足りません。誰に、いつ、どの宛先へ、どの案内を送り、戻ってきたかどうかまでを、人の行に紐づけて残しておく必要があります。宛先不明で戻ってきた人は、別の経路で連絡する対象として画面に出てくるのが望ましい形です。
案内の経路が1本ではない団体もあります。3学会合同呼吸療法認定士の手引きでは、受付期間になるとマイページに案内が表示され、審査が終わるとメールで知らされると書かれています。画面とメールの2本です。日本神経学会の規定(第4条)では、申請期間などを記載した文書が郵便で送付されます。宛先の種類が団体によって違うので、人ごとに「どの経路で連絡するか」を持たせておくと、紙とメールが混ざった状態でも扱えます。
pegがドローン操縦士協会で作った講習・実技の時間管理では、要件を満たしているかどうかを一覧で表示する形にしました。事務局が一人ずつ数えなくても、足りない人が画面に並びます。知らせる相手をその画面から決められるので、名簿を書き出して突き合わせる作業がなくなります。
単位や点数は、合計を1つの数字で持たない
更新の要件は、たいてい単位や点数で決められています。ここで合計だけを1つの欄に持つと、判定ができなくなります。規程が、合計以外のことも決めているからです。
| 規程・手引きの決め方 | データの持ち方 |
|---|---|
| 5年間に50単位とし、そのうち30単位以上は学会総会・地方会・生涯教育講演会への参加で取得することを必須とする(日本神経学会 第6条) | 1件ごとに「どの区分で取った単位か」を持つ。内訳の下限を区分別に判定する |
| 取得単位は次の更新期間への繰り越しを認めない(同 第6条) | 1件ごとに「どの更新期間に属するか」を持つ |
| カテゴリーA・B・C・Dごとに上限があり、上限を超えた分は加算されず、翌期への繰り越しもない(NSCAジャパン) | 区分ごとに合計してから上限で切る。元の1件は切らずに残す |
| 2025年以前の認定者は2つ以上のカテゴリーから取得する必要がある(同) | 区分の種類数を数えられるようにしておく |
| 計50点以上。点数証明は最大5件まで登録できる(3学会合同呼吸療法認定士) | 証明の添付を1件ごとに紐づけ、登録できる件数を設定として持つ |
| 期限内に250単位の継続教育単位(CPD)の取得を必要とする(土木学会 資格更新規程 第4条) | 取得日が期限の内側かどうかで、数える対象を絞る |
合計を持つのではなく、1件ずつ(いつ・どの区分で・何点・何を根拠に)記録して、合計はそこから計算する形にします。上限で切ったり、区分の種類数を数えたり、期間で絞ったりといった判定は、1件ずつの記録があれば後から足せます。合計だけを持ってしまうと、規程が1行増えるたびに数え直しができません。
区分や必要数そのものは、規程の改定で変わります。表として外に出しておき、画面から直せるようにしておくと、改定のたびに作り直さずに済みます。
期限を過ぎたあとは、1つの状態ではない
「更新済み」と「未更新」の2つで足りるように見えて、実際はそうなっていません。日本神経学会の認定更新に関する規定(第2条第2項)には、期限を過ぎたあとの段階が順番に書かれています。
- 単位が不足する場合は、認定更新小委員会へ願い出ることで、更新の期限を1年に限り延長できる(保留)。保留の期間中は専門医を呼称できる
- 保留を願い出なかった場合、または保留の期間中に基準を満たせない場合は、資格を停止する。停止の期間中は呼称できず、停止の期間は最大3年である
- 保留または停止の期間中に規定の単位を取得した場合は、次年度から資格を回復する
- 停止が3年を超えた場合は、資格を喪失する
保留・停止・回復・喪失の4つが、それぞれ別の状態です。しかも「呼称できるかどうか」が状態ごとに違うので、名簿の表示や証明書の発行も状態に合わせて分かれます。
例外の受け方も規程に書かれています。土木学会の資格更新規程(第2条第3項)では、事故や病気、海外出張・駐在などの理由を証明する書類を添えることで、申請期間外でも随時申請ができるとされています。日本神経学会の規定(第2条第3項)では、海外留学や病気その他認定委員会が妥当と認める理由がある場合に、その期間を更新に必要な期間から除くことができるとされ、事前に延長願を提出することが求められています。計算力学技術者のご案内では、上位級の試験の結果を待つ場合に「更新手続猶予申請」を出して、合否発表の後に手続きを延ばせるとされています。
ここで気をつけたいのは、期限の日付を書き換えて済ませないことです。元の期限と、延ばした結果の期限は別に持ちます。「その期間を除く」が入る制度では、期限はもう固定の日付ではなく計算の結果になります。除いた期間を1件ずつ残しておけば、何度でも計算し直せますし、なぜその日付になったのかを後から説明できます。
状態を日付とあわせてどう持つかは、会員名簿の側でも同じ論点になります。会員の「異動」をどう設計するかで、1行を上書きせずに期間で持つ形を書いています。
作りはじめる前に決めておく6つのこと
- 受付期間の開始日と終了日を、制度の設定として日付で持つ。「期限の◯日前」という日数では合わない団体がある
- 対象者の抽出条件に、期限以外の条件(等級・認定を受けた時期・会員であること・付帯する認定の期限)を項目として入れる
- 単位や点数は1件ずつ記録し、区分とどの更新期間に属するかを付ける。合計は計算で出す
- 案内は、送信の記録ではなく、宛先と結果(届いたかどうか)を人の行に紐づけて残す
- 期限を過ぎたあとの状態を、規程に書かれている順番どおりに並べて名前を付ける
- 期限の日付は書き換えず、延長や期間の除外を1件ずつ残して、期限は計算で出す
この6つが決まっていれば、画面の数は多くありません。逆に、ここを決めずに通知の文面から作りはじめると、送る相手を取り出すところで止まります。
よくあるご質問
期限の何日前に案内を出すのがよいですか
日数を決める前に、自分の団体の規程に受付期間が書かれているかを確かめてください。受付の開始前に案内が届いても申請できない団体があります。受付期間が決まっているなら、開始日の少し前と、受付中の未申請者向けと、締切の直前の3回に分けると、どの回も意味のある案内になります。
いまはExcelで期限だけを管理しています。移すときは何から手を付けますか
期限の列ではなく、単位や点数の1件ずつの記録からお勧めします。期限は認定日や前回の更新日から計算できることが多いのに対して、過去に取得した単位の内訳は、記録がなければ後から作れません。区分と取得日が残っている資料を先に集めておくと、移行が楽になります。
案内はメールだけで足りますか
規程に郵便での送付が書かれている団体があります(日本神経学会の認定更新に関する規定 第4条)。また、メールアドレスが古いままで届かなかったとしても、更新しなかったことの扱いは変わらないと書いている団体もあります。人ごとに連絡の経路を持たせて、戻ってきた分を別の経路で追えるようにしておくのが安全です。
期限を過ぎた人のデータは消してよいですか
資格を失った後の復活や再認定の手続きを定めている団体では、過去の単位や認定の履歴が必要になります。消さずに状態として残してください。表示や証明書の発行を止めることと、記録を消すことは別に扱います。
制度が変わったら、作り直しになりますか
必要数・受付期間・区分・上限を、本体の処理の中に書き込まずに設定として外へ出しておけば、規程の改定は設定の変更で収まることが多いです。実際に公開されている手引きを見ると、必要数は認定の時期や等級で毎回のように分かれています。はじめから表で持つ前提にしておくほうが、後の手間が少なくて済みます。
まずは話すところから
社内に分かる人がいない状態でも、手元にある材料から整理できます。何から話せばよいか決まっていなくてもかまいません。ご相談は無料です。
