そのまま電子化すると失敗する理由
紙の申請書には、長い時間をかけて積み上がった事情が詰まっています。「この欄は使っていない」「この押印はもう形式だけ」「この添付は一部の人だけ必要」。実際に運用している方でさえ、理由を説明できない欄があります。
それを全部そのままWebの画面にすると、こうなります。
- 入力項目が多すぎて、申請する人が途中でやめる
- 使っていない欄が残り、何を入れるべきか分からず問い合わせが増える
- 承認の段階が紙のときより増えて、かえって遅くなる
- 結局、紙と並行して運用され、二重管理になる
先にやるべきこと
いまの申請書の各欄について「誰が、何のために見ているか」を1つずつ確認してください。答えられない欄は、たいてい要りません。この作業だけで、作る量が3割ほど減ることも珍しくありません。

決めること① 承認の順番と権限
紙のときは「回覧の順番」で自然に決まっていたものを、はっきり文字にする必要があります。
| 決めること | 確認の仕方 |
|---|---|
| 誰が承認するか | 役職で決まるのか、担当者名で決まるのか。人事異動のたびに直すのか、役職に紐づけるのか |
| 何段階あるか | 実際に押されているハンコの数を数える。形式だけの押印はこの機会に外す |
| 金額や種類で変わるか | 「一定額を超えると部長まで上がる」といった分岐があるか |
| 代理承認を認めるか | 不在時に誰が代われるか。認めない場合、止まったときの対応 |
| 順番は固定か | 同時に複数人が見てよいのか、必ず順番に回すのか |
決めること② 差し戻しをどう扱うか
紙なら「これ直しといて」と手渡しで済んでいたものが、Webでは明確な動きとして設計が必要になります。ここを決めずに作ると、運用が始まってから必ずもめます。
- どこまで戻すか:申請者まで戻すのか、一つ前の承認者までか
- やり直しは新規か修正か:番号を振り直すのか、同じ申請を直すのか
- 理由を必須にするか:後から経緯をたどれるようにするなら必須にします
- 通知をどうするか:メールで飛ばすのか、画面を見に行く運用にするのか
おすすめは「申請者まで戻す・理由は必須・同じ申請を修正する」です。単純で、経緯が残ります。
決めること③ 本人確認をどこまでやるか
紙のときは、窓口で顔を見る、社員証を確認する、押印で担保する、といった形で本人確認をしていました。Webにすると、それが自動ではなくなります。
| 方法 | 向いているとき | 注意点 |
|---|---|---|
| 社内のIDでログイン | 社内の申請。既存の仕組みがある場合 | 退職者の停止が運用で回っているか要確認 |
| メールアドレスとパスワード | 会員・受講者など、外部の申請者 | なりすましのリスクは残る。重要な手続きには不十分なことがある |
| 会員番号との照合 | すでに名簿がある団体 | 番号を知っていれば入れてしまうので、他の情報と組み合わせる |
| 身分証の画像提出 | 制度上、確認が義務づけられている手続き | 個人情報の保管方法と保管期間を先に決める必要がある |
過剰にすると申請者が離脱し、不足すると後で問題になります。その手続きで何が起きたら困るのかから逆算して決めてください。
決めること④ 保管と検索
紙のときは、年度ごとにファイルに綴じて書庫に置いていました。Webにすると、どう保管し、どう探すかを決める必要があります。
- 保管期間:法令や規程で決まっているか。決まっていなければ団体として決める
- 削除するか、残すか:期間を過ぎたものを自動で消すのか、残して見えなくするのか
- 何で探すか:申請者名、日付、種類、状態。実際に探す場面を思い浮かべて決めます
- 書き出せるか:監査や報告のときに、CSVやPDFで出せる必要があるか
- 過去の紙をどうするか:全部取り込むのか、これから分だけWebにするのか
最後の点は費用に直結します。過去分は紙のまま残し、新規分からWebにするのが、たいていいちばん現実的です。
決めること⑤ 例外をどう通すか
どんな業務にも例外があります。締切を過ぎた申請、必要書類が揃わないまま先に進める案件、規程にない特別な事情。
紙のときは、担当者の判断と口頭のやりとりで通していました。Webにすると、そのままでは通りません。選択肢は3つです。
| やり方 | 向いているとき | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 例外も仕組みに入れる | 例外の条件がはっきりしていて、頻度も高い | 作る量が増える。条件が曖昧だと作れない |
| ② 管理者が手で直せるようにする | 例外がまれで、条件が決められない | 誰がいつ直したかの記録を必ず残す |
| ③ 例外は紙のまま残す | 年に数件しかない | いちばん安い。ただし運用が二重になることは受け入れる |
②を選ぶ団体がもっとも多いです。全部を仕組みで解こうとすると、費用も期間も跳ね上がります。
pegの進め方
pegでは、まずいま使っている申請書の実物を見せていただくところから始めます。記入済みのものを(個人情報は伏せて)見せていただけると、いちばん早く正確に分かります。どの欄が実際に埋まっていて、どの欄が空のままかが一目で分かるからです。
そのうえで、上の5点を一緒に決めていきます。仕様書は不要です。決めた内容は試作の画面にして、実際に申請する方と承認する方に触っていただいてから、中身を作り始めます。
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よくあるご質問
Q電子署名や電子印鑑は必要ですか?
手続きの性質によります。社内の決裁であれば、誰がいつ承認したかの記録が残っていれば十分なことがほとんどです。法令で様式が定められている場合は、その要件に従います。
Qいまの申請書の様式を変えたくないのですが
変えずに作ることもできます。ただ、使われていない欄が残ると申請者の負担になるので、一度棚卸しすることをおすすめします。
Q申請する人がパソコンに不慣れです
スマートフォンから使える形にし、入力項目を減らすのが基本です。紙での受付を残しつつ、受け取った側が代理で入力する運用も現実的です。
Q小さく始められますか?
できます。申請の種類が複数あるなら、いちばん件数の多い1種類だけをWebにして、使いながら次を決める進め方をおすすめしています。
Q費用はどれくらいですか?
承認の段階数と、社外の人が使うかどうかで大きく変わります。見積シミュレーターに状況を入力すると、機能一覧と費用・期間の目安が出ます。
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